雨に濡れた段ボール。 消えていた高額商品。 写真には、玄関前に無防備に置かれた荷物が写っていた。
「置き配、便利ですよね」
でもその裏にあるのは、誰にも拾われないクレームと、 誰も守ってくれない“所有権”だった。
2025年6月23日。朝日新聞が報じたあるニュースが話題になった。
それは、「置き配を標準サービスにする」という国交省の新たな方針だ。
……つまりこういうことだ。
これからは「置き配がデフォルト」になる。
そして、「対面受け取り」が有料オプションになる可能性がある。
これを受けて、配達業界ではさまざまな声が飛び交っている。
配達員目線で言うと、正直ありがたい。置き配は一軒に対するコストが対面配達より格段に低いのだ。
確実に荷物を捌けるので、まず再配達とは無縁になる。二度手間が減るというのはとても助かる。
📦 置き配が“標準”になるってどういうこと?
現在、置き配はあくまで「選択肢」だった。
でも国交省は、再配達を減らすため、すべての荷物を原則置き配とする方向で検討に入った。
- 「手渡し」はオプション化
- 追加料金を課す可能性あり
- 標準運送約款(国が定める配送ルール)の見直し予定
6月26日に検討会が設置され、年内に方針をまとめるという。
ドライバーの人手不足、再配達率の高さ(全国平均10.2%)が背景にある。
💥 じゃあ、置き配で盗まれたり濡れたりしたら誰の責任?
ここが最も重要なポイントだ。
法律の建て付けは「引き渡したら終了」
民法上は、商品が注文者に「引き渡された」時点で所有権が移る。
そして多くのケースでは、「玄関前に置いた=引き渡し完了」となる。
つまり、盗まれても、濡れても、基本的には注文者の責任というわけだ。
特に以下のような状況では、泣き寝入りの可能性が高まる。
- 置き配指定を注文者自身が選んだ
- 配送完了の写真が残っている
- 再送や返金の補償がない小規模ECサイト
- 雨の日でもビニール無しで置かれていた
📷 実際のトラブル例:「え、玄関にあったのに無くなってる…」
配達員として現場にいて実感するのは、「置き配に関するクレームは誰も拾わない」ということ。
Amazonなど一部企業は返金・再送に応じてくれるが、すべてではない。
中には、「写真に写ってますよね?これは置き配成功です」と一方的に判断されるケースも。
結果的に、注文者と配送会社・店舗との間で責任のなすりつけ合いが起こる。
📈 各社・各国の対応状況
【国内宅配大手】
・ヤマト運輸:置き配「EAZY」導入。盗難は基本自己責任
・佐川急便:2024年から本格的に置き配へ移行
・日本郵便:置き配対応中。再配達削減へ協力姿勢強化中
【海外】
・アメリカ:置き配は標準。年間1億個以上が盗難被害
・対応策:監視カメラ、宅配ロッカー、専用保険などで防衛
・優先されるのは「効率」>「安全」
🛡️ 泣き寝入りを避けるためにできること
消費者側の対策
- できる限り対面受け取りを選ぶ
- 宅配ボックスの設置
- 置き配されそうな日は受取時間指定を活用
- 破損や盗難時はすぐに写真撮影・警察届出
- クレカ付帯保険の活用(購入品補償付き)
事業者側の対策
- 防水・盗難対応の置き配バッグ導入
- 購入者に事前注意喚起(「置き配=補償外」の明示)
- 配送完了時の写真・GPS記録の徹底
🔮 未来予想図:物流効率と消費者保護の“すれ違い”
置き配の標準化は、ドライバー不足と物流崩壊を防ぐ切り札として進められている。
だがその裏で、“泣き寝入りする人”は確実に増える。
現状、国交省の検討会では盗難・破損時の補償に関して明確な方針は未定。
このままルール変更が進んだ場合、「配達完了=自己責任」が完全に定着することになる。
そのとき、泣くのは誰か。
たぶん、我々かもしれない。
まとめ:便利の代償として失う「安心」
置き配は便利だ。再配達も減る。配達員も助かる。コストも下がる。
だがその代わり、受け取り側には「リスク」が押し付けられる。
制度が変わる前に知っておきたい。
「どこからが自分の責任になるのか?」
「何を守れる手段があるのか?」
配達員として言えるのはひとつ。
大切な荷物は、できれば手で受け取ってほしい。
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